good bye daddy

独りよがりの忘備録

6.打ち合わせの一日

翌日は朝から葬儀社の人に来てもらって打ち合わせ。たまたまというか、もう年だからと言うか、去年、姪の結婚式で3人で泊まった時、葬儀の話をして意見はまとまっていたので話は早い。

葬儀の日時はまず、お寺さんの予定と火葬場・葬儀会場の空き状況の確認から始まる。そして隣の京都府側の葬儀会場と火葬場を使うことになった。葬儀会場まではどちらに行っても同じくらいの時間だけど、同じ市内の火葬場は車で片道1時間近くかかり、京都府の火葬場は10分くらいの距離で時間の無駄がない。ただ、京都府側だと市民じゃないので火葬代がかなり高い。でも、霊柩車は距離で料金が変わるので、霊柩車代と火葬代の最終的な見積もりは10,000円の差しかなかった。だったら少しでも近い方がいい。そして京都の葬儀会場のほうが同じ値段でも大規模な葬儀もできるかなり大きな会場だった。家族葬にしようって言ったくせに、会場は広い方がいいと思ってしまう不思議。祭壇や供花を決めたり、昼食を決めたり、写真を準備したり、不謹慎にも楽しかった。遺影の写真はスマホの画像が早くて綺麗だそうです。アイホンだったらエアドロップで葬儀屋さんのiPadに画像を送りそれを会社に送ってもらうと、こちらで選んだネクタイ・ワイシャツ・ジャケット姿の遺影が数分で送り返されてきた。すごいな。また、坂本冬美のファンだったので音楽は「また君に恋してる」をエンドレスで流してもらうようにCDも準備した。

家族葬を希望したけど、葬儀屋さん曰く「田舎では想像されている家族葬とは違う形になります。知らせていなくてもどこかから聞きつけて、電話で直接問い合わせてくる人もいますから・・・」と言う事だった。母もすでにあちこちに電話しまくっていて、それも高齢すぎて一人では来られないので家族が付き添いで来るとか、単独でいいのに夫婦で来たり、孫たちも全員来ることになってそれも結婚している子は夫婦で来ると言い、最終的にこちらが把握した人数は30人を超えてしまった。

新聞社からも訃報欄に名前を載せていいか問い合わせの電話がかかってきた。田舎はいまだにこういうのあるんだな。載せない人は変な死に方、例えば自殺とからしい。本当は載せたくなかったけど、地元紙だけには載せることになってしまった。

葬儀屋さんから出された見積もりは、四十九日までの諸々を含め、食事代別でほぼ100万だった。会員になっていたので、これでも割引が効いているんだけど。

区長さんにも挨拶に行き、家族葬であること、香典は辞退すること、葬儀場の場所は伏せて家を出て葬儀場に向かう時間だけを回覧してもらうようにした。近所の人の手伝いは断った。

お坊さんが来られて枕経をあげてもらった後は、ずばり、お坊さんとお金の話。30年間、値上げをしていないというけど3人のお坊さんと戒名、なかなかの出費になる。予備費も入れて、50万円をお寺関係用に準備した。お金を入れる袋は翌日に葬儀屋さんが持ってくることになっていた。

打ち合わせ三昧で忙しい一日だった。30歳代と思われる葬儀社の人に「三姉妹でうるさいでしょ?」と言ったら「私も姉が二人いるので・・・」とこの騒がしさには慣れているようだった。お坊さんも近所のお寺で私より2歳上、区長さんも6歳くらい上かな、まぁまぁ年が近いので考え方も若いので話は進めやすかった。

親戚や近所の人が何人か来てくれたけど、ろくに挨拶もできなかった。母が相手をしてくれていたけど、入院してから今日までのことを1から10までみんなに説明するので、最後のほうは「今、何日の話まで進んだ?」と横から聞いたりして茶化してみる。

 

父の棺の近くには小さなテーブルを置いて、坂本冬美のサインやCD、Tシャツを並べて、コンサート会場のグッズ売り場のようになっていた。父はこれらのものにいくら使ったんだろう。